Atmosphere
Maya Makino×Yumi Nishimura
2024/9/5(thu)〜22(sun)

2024年9月5日(木)ー22日(日) [木・金・土]12:00ー19:00  [日]12:00ー17:00 ※月・火・水 休廊  牧野真耶×西村祐美「Atmosphere」二人展を開催いたします。 自身の記憶の断片を、藍という染料を支持体に深遠な色彩表現と抽象的な画面構成で表現する牧野と、反復と集積というシステムの美しさに魅了され独学で〝織り〟というものをより抽象化する、テキスタイル領域から美術へと深化する西村。ふたりの作家は素材、技法、アプローチも異なる作品であるが、醸し出す〝Atmosphere〟はどこか似ている。二人ともが追求する、限られた状況・空間や色彩の中に無限の世界を見出すミニマリズム。彼女たちの持つ静かに響く呼吸とiwao galleryの空間での〝Atmosphere〟をお楽しみください。 ※Atmosphere=特定の場所や状況が持つ特有の感じ。雰囲気。 ———- 牧野真耶の作品は、無意図的に知覚した感覚から、瞬時に過去の風景が目の前に映し出される体験を絵画の中にキャプチャーし留めておくということを目的としている。夜の静けさ、雨の音、花の香り。これらの断片は、幼い頃の記憶を呼び起こし、作家がこれらの光景や感覚を意識するのと同じように、鑑賞者の頭の中で揮発した後、瞬時に消えるという体験をする。 牧野の絵画的実践の最も本質的な側面のひとつは、おそらく色の深度であろう。彼女は、胡粉を使った地塗り材で下塗りをしたパネルに一種類の染料を使ってさまざまな藍の色合いを表現する。藍は絵画の表面に留まっているのではなく、支持体に浸透している。それは、彼女が感情や記憶を瞬間的に思い出し、捉え、保存することを追求する際に、心に浸透していくこととリンクしていると言える。牧野にとって絵画とは、特定の表面に特定の材料を塗り重ねる行為だけではない。色彩が絵画の物質的な面を超越するように、支持体の奥から立ち現れる現象として捉えている。 ———- ———- 西村祐美は、現在のような制作を行う以前、学業や仕事を通じデジタルな制作現場で活動していた。どこか実体の感じづらい作業を続ける中で、もっと本質的な素材に立ち返りたい、自分の指で何かを形にしたいという思いを次第に募らせていた。その時期ふと手織りに興味を持つ機会があり、反復と集積というシステムの美しさに魅了され独学を開始した。 西村は、テキスタイルの領域で自身の立ち位置を模索していた頃、韓国のミニマルな抽象表現である単色画(ダンセッファ)と出会い、その反復に対する肯定的な姿勢と引き算の美学に影響を受け、〝織り〟を抽象的に表現することを意識し始める。2022年に開催されたiwao galleryでの個展では、手織りによる反復のシステムとそれを行う人間の手作業や素材から生まれる揺らぎを用いた作品を制作、展示した。 2023年以降は〝織り〟というものをより抽象化していくために、実際の織り機から離れ、いくつかのシリーズを展開しながら、織りの中でとりわけ興味を惹かれる要素 —反復・集積・交差・密度・素材—などを軸とした制作を行っている。 ———- ◉牧野真耶[Maya Makino] 1980年神奈川県生まれ。2009年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻修了。2003年より藍を使用した作品を制作し続けている。国内外のギャラリーの他、2012年 東京都府中市美術館、201…

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