移住
露口啓二
2024/7/11(thu)〜21(sun)

2024年7月11日(木)〜21(日)
[木・金・土]12:00ー19:00  [日]12:00ー17:00
※月・火・水 休廊

本展は、キュレーターに四方幸子氏を迎え、露口啓二が2017年から撮影を開始したシリーズ「移住」をもとに展示構成いたします。また、写真集『移住』を会場先行発売いたします(協力:赤々舎)。

写真が幸運に恵まれたなら、繰り返し降り注ぐ堆積物に覆われ不可視となった過去の出来事や不在の歴史への道標となり、忘れてはならない記憶を辿るための回廊ともなりうるだろう。 2024年 露口啓二

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写真集『移住』は、複数のトランスポジショナルな関係にある土地と土地を連結させ、比べ照らし合わせることで、近代日本の経てきた負の歴史と、その「なれの果て」としてある現在への想像力を立ち上げようと腐心している。自然災害、公害、戦争によって生来の土地を追われた人々が、別の土地へ移住する。本書が対象とするのはそれにまつわる史実であり、史実と照応しうる場所の風景である。
ーーー「写真史の死角から」倉石信乃(詩人、美術評論家)

「犯罪の現場に戻る」。この言葉は、犯罪の痕跡の完全な抹消が不可能であることを言う。この不可能性の核心に、どんな警察的視線より前にたどり着かなければならない。そのとき責任の観念は規範の拘束から解かれ、応答可能性の扉が開かれる。露口啓二の写真は、一枚一枚がそのような扉である。
ーーー「犯罪の現場に戻る」鵜飼 哲(哲学者、活動家)

写真集『移住』(発行:赤々舎)より抜粋

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✴︎ gallery talk ✴︎
7.12(金)19:00ー20:30 四方幸子×露口啓二
※ギャラリートーク(無料、要予約)の申込受付は6/20(木)よりHPにて告知いたします。

◉露口啓二[Keiji Tsuyuguchi]
1950年 徳島県生まれ。1990年代末より、北海道の風景と歴史に着目した写真シリーズ「地名」の制作を開始。2014年 第一回札幌国際芸術祭に、映像と写真のインスタレーションを発表。同年、人間の営みの痕跡が自然に浸食されていく様子を撮った「自然史」シリーズの制作を開始。2018年「自然史」シリーズを「今も揺れている」展(横浜市民ギャラリーあざみ野)に出品。同年「地名」シリーズを「さがみはら賞受賞」展出品。2020年「地名」と「自然史」を「道草」展(水戸芸術館現代美術ギャラリー)に出品。2021年「The world began without the human race and it will end without it」展(国立台湾美術館)に出品。2021年より2023年まで、映画『Wakka』に撮影監督として参加。写真集に『自然史』(2017)『地名』(2018)がある。

◉四方幸子[Yukiko Shikata]
キュレーター/批評家。「対話と創造の森」アーティスティックディレクター。美術評論家連盟会長。多摩美術大学・東京造形大学客員教授、武蔵野美術大学・情報科学芸術大学院大学(IAMAS)・京都芸術大学非常勤講師。「情報フロー」というアプローチから諸領域を横断する活動を展開。1990年代よりキヤノン・アートラボ(1990-2001)、森美術館(2002-04)、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC](2004-10)と並行し、インディペンデントで先進的な展覧会やプロジェクトを多く実現。2010年代の仕事に札幌国際芸術祭2014、茨城県北芸術祭2016など。2020年以降の仕事に美術評論家連盟2020シンポジウム(実行委員長)、MMFS2020、「ForkingPiraGene」(C-Lab台北)、2021年にフォーラム「想像力としての<資本>」 (2021)、フォーラム「精神としてのエネルギー|石・水・森・人」(2021)、「EIR(エナジー・イン・ルーラル)」(2021-2023)、大小島真木・辻陽介『千鹿頭 CHIKATO』(2023)、「混沌に愛/遭い!ーヨーロッパと東京をつなぐサウンド、メディアアート、ケアの探求」(2024)など。国内外の審査員を歴任。著書に『エコゾフィック・アート 自然・精神・社会をつなぐアート論』(2023)。共著多数。