土に還る|「そこにある」ものたちの声
村越 慧 写真展
2026/2/5(thu)〜22(sun)

2026年2月5日(木)〜22日(日)
[木・金]13:00ー19:00[土・日]12:00ー17:00
[休廊]月・火・水  
※2026年より営業時間を変更させていただきます。

この度、iwao galleryにて[土に還る -「そこにある」ものたちの声-]村越 慧 写真展を開催いたします。
コロナ禍に栃木県益子町へ移住した写真家・村越 慧は、卵や羊羹といった身近なものを被写体に、カメラによる視点の可能性を探るobjetシリーズを発表してきました。《ものを見る視点》を制作の軸とする村越の作品は、誰もがよく知る単純な形を前にしながらも、写し出された像を通してものの存在そのものにあらためて向き合う体験を促します。
情報過多な現代において、写真でさえも騒がしく感じられることがあります。そのような状況のなかで、村越の作品は説明を最小限にとどめ、物静かな佇まいをもった〝物の在り方〟の潔さが際立っています。本展では、益子に拠点を移したことにより、他者の視点を通して被写体と向き合い、汎用されてきたものが個人的な存在へと移行していく様子が写し出されています。レンズの奥に浮かび上がるのは、時間の流れや、そこに刻まれた記憶の連なりです。
「時代を超え、知らない場所で、人から人へと継がれている。人がものに何を語りかけ、そこにあるものたちはどう語り返すのか。」
村越はレンズを通してそっと耳を傾けます。鑑賞者もまた、静かに五感を研ぎ澄ませながら写真と向き合うことになるでしょう。是非、この機会にご高覧ください。

協力:古道具 時余利

ーーーーー
土に還る 
「そこにある」ものたちの声

 生物は循環機能を持ち破壊と再生を繰り返し生きている。私たちの身体的な傷も心理的な痛みも時間と共に修復、あるいは変化させてくれる。一方で、人がつくる「もの」は自己修復することはなく、素材によって異なる時間のスケールで一方向的に変化してゆく。それは一般的には綻びや劣化を意味するのかもしれないが、人はそこに何かを見出すこともできる。
 道具は用途と目的を持って作られる。はじめは傷ひとつない道具も、やがて時間を経て凹み、汚れ、傷つき、破ける。ふと気がづくと、人の道具に対する見え方が変わっている。その道具を使うという視点から、「そこにある」一つのものとしての存在への意識が生まれている。何かしらの行動を果たすための用途が脱ぎ捨てられ、そのものが存在することを五感で感じとる対象へとなってゆく。双方向的な関係性に近づくのかもしれない。もはやそこにあるものは単なる人工物ではなく、自然を構成する要素と同じような存在と言っても良いのではないだろうか。

 作品の被写体は日々の生活で使われたであろう無名のものたち。古物として人の手を渡り、一つひとつ生い立ちを辿ることも難しい。現在、益子で古道具店「時余利」を営む君島北斗氏がこれらを大切にしている。それぞれのものの作り手が想像もしなかった時代に、知らない場所で、人から人へ継がれている。人がものに何を語りかけ、そこにあるものたちはどう語り返すのか。私はレンズを通してそっと耳を傾ける。

村越 慧
ーーーーー

◉ 村越 慧[Kei Murakoshi]
1993年東京都出身。慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻で主に陶磁史を研究。卒業後、東京綜合写真専門学校に入学。在学中より大判カメラでの暗室写真制作を始める。卒業後、写真スタジオ勤務とアシスタントを短期間経て、コロナ禍に栃木県益子町へ移住。地域おこし協力隊として役場勤務を経て2023年より写真家として独立。
陶芸を中心に工芸分野への関心を軸に、「ものを見る視点」を大きなテーマとして主にモノクロでの作品制作を行っている。現在、益子の空き家を活用し小さな撮影スタジオ兼暗室を整え制作拠点としている。これまで、身近なものを被写体にカメラによる視点の可能性を探るobjetシリーズなどを展示発表してきた。過去の個展として「Objet -Egg-」(2023東京/alt_medium)、「Terra Incognita」(2023 益子/hijinowa cafe&space)、「Yokan ~Objet Ⅱ~」(2024 東京/alt_medium)、「うつりゆくかたち」(2025長野 朝日村/Blue House Studio)を開催した。
WEB|https://www.kei-murakoshi.com
Instagram|@k.murako

Kei Murakoshi Photo Exhibition
2026.2.5(thu)-22(sun)
Open:Thu,Fri 13:00-19:00 Sat,Sun 12:00-17:00
Close:Mon-Wed