「Like Planets」
Yuka Fujii

「Like Planets」Yuka Fujii

2022.4.14[thu]ー5.1[sun] 
木・金・土・日 12:00〜19:00 (最終日17:00まで)
※月・火・水 休廊

2018年秋、イギリスでユカ・フジイによる写真集「Like Planets」が出版された。当時のパートナーであったアーティストのデヴィッド・シルヴィアンの静かで親密な存在を記録した写真は、一緒に共有された時代の視覚詩のようである。ホテルの部屋、小さな村、墓地、広大な自然のなか、彼女のファインダーを通して彼の私的な時空が垣間見れる。
コロナ禍、何度ともなく延期を余儀なくされたが、このたび、日本初展示となる写真展「Like Planets」を開催いたします。

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デヴィッド・シルヴィアンの歌と音の美しさに、ヴィジュアルを織り合わせるのは難しい(私は試みたので知っている)が、ユカ・フジイの美しい写真が収められた 写真集「Like Planets」はそれに近いものがあり、彼の魂の中へと誘いかける。
アントン・コービン(オランダ生まれ。写真家、ミュージック・ヴィデオ監督、映画監督)

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Artist Statement

Like Planets 〜遊星のように〜
 「Like Planets」は、アーティストのデヴィッド・シルヴィアンが華々しいポップスターから精神世界の求道者へと急速に変身していった1980年代の前期から後期のドキュメントである。彼は、もはやスポットライトの歪んだ眩しい光の中にいることを望まず、創造的な生活の源と信じる「内なる光」を探求し密やかに旅立った。「それは枯れることのないインスピレーションの井戸だ」と彼は言う。外部からのプレッシャーからやっと解放され、 道徳的葛藤やモラルを問いかけて自己を内省し、自分にとって最も重要なものは何かを熟慮する機会を得た時期でもあった。
 私は、彼のこうした感情と思考に推進された精神の旅に同行し、実際 多くの旅をして様々な場所を訪れた。私はいつもカメラを持ち歩いていたので、 孤立した彼の憧れや不満、内観などを写真に収めることができた。彼は時には苛立つこともあったが無関心なことが多かった 。
 彼の制作姿勢は常に誠実で、どんなに多くの時間を掛けた創作物でも満足しなければ執着なしに切り捨てたが、それは実験、経験、学習として生かされ、作品として完成したものは包括的だった。妥協や惰性が一切ない作品は美しく、それは彼の日常生活においても同様であり私にインスピレーションを与えてくれた。
 同タイトルの写真集はデヴィッドの様々な形態のポートレイトを主としているが、静謐な時間と場所を喚起する簡素なイメージが交錯し、それは象徴的、印象派的なものが多い。幾度となく取られる小休止は、長く影を落とした日々の空虚さであり、結果として時を超えて繋がる時空の旅を示唆する。彼と私は 互いをめぐる遊星のようでありその引力作用の関係は今日も続いている。
Yuka Fujii

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Yuka Fujii 

イギリスのロンドンを拠点とする写真家、キュレーター、アートディレクター。デヴィッド・シルヴィアンの長年のクリエイティブパートナーであり、彼のレーベル[サマディサウンド(samadhisound.com)]の創設メンバー。