蔵前手工芸アートセンター
久村卓個展
2026/7/2(thu)〜19(sun)

2026年7月2日(木)〜19日(日)
[木・金]13:00ー19:00[土・日]12:00ー17:00
[休廊]月・火・水  

この度、iwao galleryでは、久村卓の個展「蔵前手工芸アートセンター」を開催いたします。
美大で彫刻を学んだ久村は、ヘルニアの発症をきっかけに、重い素材や力を必要とする従来の彫刻制作から距離を取り、刺繍やDIY、ハンドメイドなど、日常に近い素材や美術の周縁にある技法を用いた独自の表現へと移行しました。そこには、物理的な「軽さ」だけでなく、美術制度やアカデミズムが纏う重苦しさから自由になろうとする意識が一貫して流れています。
本展では主に、台座や周囲の景色を刺繍し額縁をはめることで、服のロゴマークや汚れをモニュメントや抽象絵画に見立てた作品を展示します。久村は、既製品や日用品を、美術館という制度や文脈によって作品へと転換させたデュシャン以後のレディ・メイドの系譜を踏まえながら、「美術を作らずに、作る」という考えのもと、軽妙洒脱なアプローチで作品を成立させます。美術と日常が未分化であった時代を現代へと手繰り寄せ、豊かな感性(ユーモア)と見立ての感覚が交差します。作品の前に立った鑑賞者は、固定化された価値観や見方がゆっくりとほぐれていくでしょう。是非この機会にご高覧ください。
また、会期中の毎週末には《織物BAR》を開催いたします。作家が「これも台座」と名指すカウンターに座って好きな織り糸をオーダーし、手のひらサイズの織物を制作するワークショップもあわせてお楽しみください。

✴︎ 織物BAR @iwao gallery ✴︎
7/4(土)5(日)11(土)12(日)18(土)19(日) 13:00-17:00
バーカウンターに座って好きな織り糸をオーダーし、手のひらサイズの織物をつくるワークショップです。
テーブルチャージ(参加費) ¥1,000(税込) ※予約不要、所要時間は1時間程度 
協賛:ディー・エム・シー株式会社 

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ある美大生が、ゼミ仲間と共に教授の家へ招かれた。
雨が降っていたのだろう。彼女は持っていた傘をそそくさと傘立てに挿し、家の中へ入った。
作家でもある教授の話で盛り上がってからしばらくして、教授の奥様の声が家の中に響いた。

「誰ぇー海老塚の作品に傘を挿したのはー?!」

玄関にあった傘立てと思わしき物体は、なんと教授の”作品”であった。

美術作品との出合いは、必ずしもフレンドリーではない。それは大抵ガラスケースや結界の向こう側にあって、簡単には近寄れないし触れられない。ともすれば、そのおかげで作品と認識されているものだってあるだろう。

この出来事は、そこに親密な関係性と日常的な空間があったからこそ起きたと言える。ゼミ生と教授という関係性が、玄関の傍らという日常的な空間が、”作品”を無防備にさせてくれた。そして彼女の無意識は、作品を見事に解釈し、傘をそっと”作品”に突き立てたのだ。私の興味関心から付け加えるなら、その”作品”は台座になったのだ。傘を垂直に支え、まるでレディメイドのように見せるための台座に。

それから数十年が経ち、彼女は自分のギャラリーを始めた。
その場所で個展をすることになった私は、この傘立て…否、作品を巡る話をどのように引き継げるだろうか。

久村卓
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◉ 久村卓[Taku Hisamura]
1977年東京都生まれ。2001年多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業。台座・額縁・展示空間といった、美術を成立させる制度的かつ物質的な要素を、手芸やDIYなど従来の美術において周縁化された技法や素材を用いて制作する一方、それらを「着られる彫刻」や「座れるレディメイド」と位置付け、鑑賞以外の機能を与えることで、制度・用途の二つの観点から「美術とは何か?」を問い続ける。
近年の主な活動に2026年「刺繍BAR/織物BAR at 藝大部屋 Vol.2」(東京藝術大学 芸術未来研究場 藝大部屋)、2025年「つくるよろこび 生きるためのDIY」(東京都美術館)、個展「多摩美術大学 手工芸アートセンター」(多摩美術大学彫刻棟ギャラリー/東京)などがある。
Instagram:@takuhisamura
WEB|https://takuhisamura.com

Kuramae Handicraft Art Center
Taku Hisamura Solo Exhibition
2026.7.2(thu)-19(sun)
Open: Thu,Fri 13:00-19:00 Sat,Sun 12:00-17:00
Close: Mon-Wed