版画と彫刻
海老塚耕一展

2023年5月11日(木)〜28日(日)  [木・金・土]12:00ー19:00 [日]12:00ー17:00 ※月・火・水 休廊 現代美術家(彫刻家)である海老塚耕一は、版画家でもある。90年代以降は「境界・端・限界」への関心から「水」や「風」を主題に作品を発表。ドライポイント、メゾチントで制作した版画作品を中心に、本展のために作られた彫刻「水の隣人」(蔵前にて・桜新町にて)を展示いたします。是非、ご高覧下さい。 ◉海老塚耕一(えびづかこういち) 1951年、神奈川県横浜市生まれ。現代美術家、彫刻家、版画家。多摩美術大学美術学部建築科に進学、生涯の師として仰ぐ東野芳明と出会う。多摩美術大学において長年にわたり後進の育成に従事する。生涯学習プログラムでは「あそびじゅつ」の考案。2022年、多摩美術大学教授を退職。東京国立近代美術館、世田谷美術館、神奈川県立近代美術館等に収蔵。映像作家・鈴木志郎康によるドキュメンタリー映画『極私的にEBIZUKA』(2001年)、『山北作業所』(2002年)が撮られている。

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Tree of Life | Toru Komatsu
小松透写真展

Tree of Life | Toru Komatsu 小松透写真展

2023年3月9日(木)~26日(日) [木・金・土]12:00ー19:00 [日]12:00ー17:00 ※月・火・水 休廊 2011年3月11日の大震災、実家の古い家も倒壊した。写真家・小松透は息子をアシスタントに東北の太平洋沿岸に足を運び撮影を続けた。本展は、その10年をまとめた 写真集『nature morte ─après 311─』(2021年)を中心とした写真展を開催する。本展のタイトルは〝Tree of (still)Life〟であり、小松は「写真は〝still Life〟である」と言う。彼はどこかに迷い込むかのように木(木々)を撮り続け、その先に何が見えてきたのだろうか……。小松の写真には一貫して静けさが漂っている。取り残された木(木々)、地を這うように倒れた木(木々)、静寂のなかに広がる荒涼な風景は、時として、異国のような雰囲気を醸し出す。時を経て、儚くも力強い自然(木々)の先に希望がみえる。 ーーーーーーーーーーーー 《同時開催》小松透 Toru Komatsu 「New Horizon」 会期:2023年3月6日(月)~19日(日)12:00-19:00 会場:RED Photo Gallery 東京都新宿区新宿1-2-11 近代ビル2F https://photogallery.red ーーーーーーーーーーーー ◉小松透(こまつとおる) 1969年宮城県生まれ。94年、多摩美術大学芸術学科卒業。写真家、TokyoLightroomプリンティングディレクター、RED Photo Galleryのメンバーとして活動。1992年より「静物」をテーマに映像作品と写真作品を制作。2016年11月Place M出版より写真集『遠い渚 ─a distant shore─』を刊行。同年、Steidl Book Award Japanにて、ファイナリストに選出。現在ドイツの出版社Steidlにて未だ写真集制作中。2020年6月よりPlace Mのメンバーとなり、2021年3月 Place M出版より写真集『nature morte ─aprés311─』を刊行。   小松 透 写真集 『nature morte ─après 311─』 印刷:2021年3月11日初刷 発行:Place M 5x5inchサイン入りオリジナルプリント付き。 300部限定 価格:¥8,000(税抜)   あれから10年、その間にも何度も東北の太平洋沿岸に足を運ぶ度に息子の静をアシスタントとして連れて行った。海岸沿いには裾野の広い防潮堤がどんどん築かれ、遠くからは海が望めず以前の面影はなくなっていくけれど、防潮堤を越えれば以前と変わらない広い海が広がっている。驚くことに一本松は本当の意味で静物となったが、希望の象徴であることにかわりはない。小学3年生だった静は19歳になった。静と一緒に一本松の前で写っている父親はもういない。その写真を褒めてくれた母親も。世界中の人が外に出る際にマスクをするようになるとは。そう考えると10年という時間は長く感じるが、僕にとっては、あの日が昨日のことのように思えてならない。だけど、じっとしてはいられない。ただ先へ進め。

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Immortal Garden | Nina Nomura
野村仁衣那展

Immortal Garden | Nina Nomura 野村仁衣那展

2023年2月9日(木)~26日(日) [木・金・土]12:00ー19:00 [日]12:00ー17:00 ※月・火・水 休廊 ここ数年、活躍が目覚ましい注目の若手作家・野村仁衣那を迎え、新作〝Immortal〟約16点で構成される「Immortal Garden(不朽の庭)」を開催いたします。野村は、プラスティックに熱を加え、穴をあける行為(※防塵マスクにハンダごてという制作姿)を表現方法とする。プラスチックにあけた無数の痕跡が色彩によって再生され、物質から表象へと光をあてることで、野村が言及する〝光の細胞〟が誕生する。光を透過することによって作品の美しさを成立させた。本展では、2022年に発表した新作〝Immortal〟を展開し、環境や状況によって変化する作品を展示する。 ーーーーーーーーー 一見無機質に見えるアクリル板に熱を加え、穴をあけることで、光の細胞を宿し、新たな生命感を与えた。プラスティックの原料である石油は、太古のプランクトンの死骸が、長い年月をかけて大地の熱や圧力を受けて生まれた。穴をあける行為は、この素材が持つ起源を露わにし、心象風景として再生させるためにある。この「Immortlal/不朽」は、このコンセプトをプリミティブに捉え、抽象表現に落とし込んだものである。すべてのものが時間によって変化していくことを、老い、朽ち、劣化する、ネガティブなものとしてではなく、ただ次なる姿への変身の途中であると捉えた作者のイメージを投影している。プラスティックという素材は、環境問題において疎ましく思われているものでもあるが、この光の細胞の輝きは、現代の私たちの暮らしに潜む価値を照らし出している。 2023年2月 野村仁衣那 ◉野村 仁衣那(のむら にいな) 1993年 東京都生まれ。大学で日本文学を学んだ後、就職。小売業の会社で働く中で空間とプロダクトの関係に興味を持ち、2018年 桑沢デザイン研究所昼間部入学、空間デザインを専攻する。2021年 スペースデザイン科を卒業後、作家活動開始。スパイラル青山 SICF22 審査員賞(MIKIKO賞)受賞。2022年 DESIGNART TOKYO 2022 UNDER30 受賞。(Selected by Astrid Krain & Mark Dytham) PechaKucha Night Special出演。 https://www.ninanomura.com

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風をこぐ
橋本貴雄写真展

風をこぐ 橋本貴雄写真展

2022年11月3日(木)~20日(日) 木・金・土・日 12:00ー19:00 (最終日17:00まで) ※月・火・水 休廊 私はフウのそばにいて、ただ見つめていたように写真が残った。 ベルリンを拠点に活動する写真家・橋本貴雄の写真集『風をこぐ』出版記念巡回展示の最終章のひとつとなる。橋本は2005年、交通事故に遭い後ろ脚が動かなくなってしまった野良犬・フウを保護した。本展では、出会いの地・福岡をはじめ大阪、東京、ベルリンで橋本とフウがともに過ごした12年間の記録、19点で構成される。フウとの日々を静かに受け止める橋本の優しい眼差しと柔らかな風景が目の前に浮上する。フウのいる風景が愛おしいと感じるだろう。 ーーーーーーーーーーーー フウは17年前、福岡の路上で轢かれていた。事故で後ろ脚は動かなくなっていて、手術を受けて、リハビリをかさねていくなかで、後ろ脚は少しづつ動き始めた。普通の犬のように歩くことは最後までできなかった。それでも、自力で立って元気に散歩ができるまでに回復した。晩年は自力で立つことはできなくなったけれど、車椅子で変わらず元気に散歩をつづけた。 写真を始めたのは、福岡でリハビリをかさねていくなかで、フウが少しずつ歩き始めた頃だった。フウを写している時、その写真で作品作りをするつもりはなかった。ただ、フウが歩いていく方へ歩いていき、流されるように、そこに現れてくるものを撮った。福岡、大阪、東京、ベルリンで、12年間、私はフウのそばにいて、ただ見つめていたように写真が残った。 後ろ半身を不安定に揺らしながら、前脚でバタバタと宙を漕ぐようにして立ち、全身を波立たせて走る。力の弱い後ろ半身が右に傾き、時々尻もちをついてはまたすぐに立ち上がる。いつも初めてのように目の前の景色にふれて、どんどん遠くへ駆けていった。 フウが亡くなって5年が過ぎた。私たちは、毎日の生活のなかへ絶えず投げだされながら、時間を置き去りにして、だんだん遠くへ離れていって、もといた場所も忘れてしまうのかもしれない。疲れて、ふとふり返って、見えなくなったことのさびしさに気づいて、置いてきたものをまた拾い集める。フウとの時間と残った写真がなかったら、いくつかの失くしていた感覚がいまの自分にはあったと思う。12年間、一緒にいれて幸せだった。 2022年10月 橋本貴雄 ◉橋本貴雄(はしもと・たかお) 1980年熊本県生まれ。2008年、ビジュアルアーツ大阪写真学科卒業。2011年からドイツに渡り、国内外で展示を行う。現在、ベルリン在住。『Kette』より2021年度 写真新世紀 佳作(椹木野衣氏選)。主な展示にグループ展「Unsichtbar」galerie Bild plus(ベルリン、2012年)、「Abjet」Galerie Emma-T(ベルリン、2015年)など。2021年9月写真集『風をこぐ』モ・クシュラ社より刊行。金柑画廊(2021,東京)を皮切りに『風をこぐ To Row the Wind』出版記念展が始まり、LIBRIS KOBACO(福岡、2021年)、スタンダードブックストア(大阪、2022年)、新宿ニコンサロン(東京、2022年)など巡回。 https://www.takaohashimoto.com ーーーーーーーーーーーー 写真集『風をこぐ』 To Row the Wind 橋本貴雄 装丁:岡本健 + 発行:モ・クシュラ 仕様:A5判・並製カバー帯あり・PUR 頁数:342ページ(写真262点、エッセイ2万字) 定価:3,520円(税込) 200…

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広川泰士新作展
あとかた

広川泰士新作展 あとかた

2022年10月6日(木)~23日(日) 木・金・土・日 12:00ー19:00 (最終日17:00まで) ※月・火・水 休廊 広川泰士は、これまで地球の風景や自然、悠久の時間をテーマに宇宙の広がりと数々のスケール感のある作品を発表してきたが、本展は、新型コロナウイルスにより国や地域の移動が困難となった2021年から2022年にかけて制作した作品を展示。このコロナ禍で何かを諦めたり何かを待ち望んだ状態であり、反面、様々なことが加速度的に移りゆく中で広川の内なる時間に変化をもたらしたのか。 ギャラリーという限られた小さい空間で、内なる時間の流れに静かに向き合きあった作品の〝気配〟を感じて欲しい。 「BABEL ordinary landscapes」 (2015年キヤノンギャラリーS)から7年ぶりとなる新作。 ーーーーーーーーー 「想像してみる」 長年の風雨で蓄積した壁の滲み、常に変幻し止まることのない炎、小石、流れる水…… 身近にある対象を写した。 世の中は、陰陽五行(木、火、土、金、水)の循環で成り立っているという説がある。木は火を生じ、火は土を生じ、土は金(鉱物)を生じ、金は水を生じ、水は木を生ず、命の循環のようだ。確かにその通りだと思う。 短命の象徴のように喩えられる「薄羽蜻蛉(うすばかげろう)」、寿命500年とも言われる北の深海に生息する「ニシオンデンザメ」、樹齢何千年の巨樹。世の中の生き物は、種によって天命がある。それでは、命の長さによって時間の感じ方は違うのだろうか? これは想像するしかない。もしかして、それぞれがそれぞれの生を精一杯生き、死に際に〝Life is short〟と叫んでいくのかもしれない。 2022年9月 広川泰士 ーーーーーーーーー 広川泰士(ひろかわたいし) 1950年、神奈川県逗子市生まれ。70年代よりフォトグラファーとして活動を始め、以降、ファッションや広告などの分野で活躍。一方、悠久の時間をテーマに無限の宇宙の広がり、地球の風景や自然を映し出した作品や、環境と人間の存在を問うスケール感のある数々の作品を発表する。世界各都市での個展、美術展への招待出展多数。作品集に『sonomama sonomama』『STILL CRAZY』『TIMESCAPES −無限旋律−』『BABEL』など。 講談社出版文化賞、ニューヨークADC賞、文部科学大臣賞、経済産業大臣賞、A.C.C.最優秀撮影賞、写真の町東川町 国内作家賞など受賞。サンフランシスコ近代美術館、フランス国立図書館、プリンストン大学アートミュージアム、東京都写真美術館他で作品が収蔵されている。

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いろ、かたち
藤川孝之展

いろ、かたち 藤川孝之展

2022年7月7日(木)ー24日(日) 木・金・土・日 12:00ー19:00 (最終日17:00まで) ※月・火・水 休廊 藤川の日常に絵と音楽は欠かせない。しなやかに引かれた線、繊細に重ねられた絵具、作品から〝いろ〟と〝かたち〟が奏でる柔らかな音があふれている。会場では、仮設アトリエを作り、藤川が選曲した音楽が流れ、ペインティングやドローイング、コラージュを制作をします。彼の日常の断片を感じながら展示を楽しんでください。 在廊日には、ポートレイトデッサン会もあります。 詳細は、https://iwaogallery.jp/20220617/         ーーーーーーー  近作を中心に「いろ、かたち」を主とする作品を展示します。 コラージュやドローイング、デッサンは会場にて制作します。 様々なレコードとともに、日々変化する風景をお楽しみいただけたら。                       藤川孝之         ーーーーーーー  藤川孝之(フジカワタカユキ) 1962年大阪生まれ、国立市在住。画家・造形家。84年金沢美術工芸大学油絵卒。卒業後、一年間創形美術学校にて銅版画を学ぶ。96年から3年間パリにて素描を学ぶ。2010年よりアトリエショップ「フジカワエハガキ」を始める。日本各地で個展を開催。水彩画、素描、ドローイングの展示に加えて、開催地にてアトリエを作りその場でも制作。雑誌、書籍、CD等の挿画多数。 http://www.tfujikawa.jp/

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萩原朔美写真展
私がいる。2022

萩原朔美写真展 私がいる。2022

2022年6月9日(木)ー26日(日) 木・金・土・日 12:00ー19:00 (最終日17:00まで) ※月・火・水 休廊 増殖しつづける私、がいる。 本展は、2021年2月に新宿Place Mで開催された「私がいる。」の続編になる、新作を展示します。萩原朔美の朝は〝スマホ散歩〟から始まる。自分の影を撮影し続けている。自撮りだと自分が見ている風景が入らない。それが寂しいから仕方なく影を撮ることにしたと彼は言う。風景の中に居る自分の影は、自分のような他人のような、幻影のようで、妙にリアリティがある不思議な存在である。 今では、自撮りより〝自影撮り〟の方が私は好きになってしまった。萩原朔美 ーーーーーーーーーーーーーー 文化の作り手としての萩原朔美は、自己の矛盾に自覚的な「観察者」であることで、多様な表現を示してきた。おそらくこれほどの多種多様な表現を行為した人は現代にはいないであろう。そんな彼の、今回の作品群=為事をどのように捉えることができるのか、楽しみである。老人が携える現代とのコモンセンス-共通感覚とはどのようなものであるか、それが顕になる展覧会であると思っている。 海老塚耕一[現代美術家] ーーーーーーーーーーーーーー 萩原朔美(はぎわらさくみ) 1946年、東京生まれ。映像作家、演出家、エッセイスト。 母は小説家・萩原葉子。祖父は詩人・萩原朔太郎。67年、寺山修司主宰の「演劇実験室・天井棧敷」で役者・演出家として活躍。75年、雑誌「ビックリハウス」編集長に。現在、前橋文学館館長。多摩美術大学名誉教授、アーツ前橋アドバイザー、金沢美術工芸大学客員教授。著書に『思い出のなかの寺山修司』『定点観測』『砂場の街のガリバー』『死んだら何を書いてもいいわ』の他多数。

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Across The Waters
港千尋

Across The Waters 港千尋

2022年5月12日(木)-22日(日) 木・金・土・日 12:00-19:00(最終日は17:00まで) 休廊日:月・火・水 ——旅の始まり、イメージの起源へ。 ブラジル、赤道地帯、ダブリンの一日から洞窟へ、時を遡るイメージの旅を全4章でたどる『Across The Waters』(発行:ABI+P3 販売:Art Bridge Institute)刊行を記念し、著者、港 千尋による写真展を開催いたします。『Across The Waters』に収録された写真のなかから、著者のセレクトによるプリント作品を展示いたします。 ※会場にて『Across The Waters』および関連書籍(ABI+P3既刊、著者近刊)を販売いたします。 主催:Art Bridge Institute  a-b-i.info ーーーーーーーーーーーー 『Across The Waters』港千尋 著  Brazilian Moment / Dog Day Equator / Chromatic Citizen / All Is Always Now 中綴じブックレット4冊 各32頁 28頁 24頁 20頁 三方背ブックケース付/B4変型 デザイン:岡本健+ 発行元:ABI+P3  abip3publishing.org 販売元:Art Bridge Institute  a-b-i.info ーーーーーーーーーーーー 港 千尋(みなと ちひろ) 1960年神奈川県生まれ。写真家。世界を移動しながら創作、研究、執筆、発表を続けている。国際展のキュレーションなども手がけ、あいちトリエンナーレ2016では芸術監督を務めた。写真展「市民の色 chromatic…

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「Like Planets」
Yuka Fujii

「Like Planets」Yuka Fujii

2022.4.14  木・金・土・日 12:00〜19:00 (最終日17:00まで) ※月・火・水 休廊 2018年秋、イギリスでユカ・フジイによる写真集「Like Planets」が出版された。当時のパートナーであったアーティストのデヴィッド・シルヴィアンの静かで親密な存在を記録した写真は、一緒に共有された時代の視覚詩のようである。ホテルの部屋、小さな村、墓地、広大な自然のなか、彼女のファインダーを通して彼の私的な時空が垣間見れる。 コロナ禍、何度ともなく延期を余儀なくされたが、このたび、日本初展示となる写真展「Like Planets」を開催いたします。 ーーーーーーーーー デヴィッド・シルヴィアンの歌と音の美しさに、ヴィジュアルを織り合わせるのは難しい(私は試みたので知っている)が、ユカ・フジイの美しい写真が収められた 写真集「Like Planets」はそれに近いものがあり、彼の魂の中へと誘いかける。 アントン・コービン(オランダ生まれ。写真家、ミュージック・ヴィデオ監督、映画監督) ーーーーーーーーー Artist Statement Like Planets 〜遊星のように〜  「Like Planets」は、アーティストのデヴィッド・シルヴィアンが華々しいポップスターから精神世界の求道者へと急速に変身していった1980年代の前期から後期のドキュメントである。彼は、もはやスポットライトの歪んだ眩しい光の中にいることを望まず、創造的な生活の源と信じる「内なる光」を探求し密やかに旅立った。「それは枯れることのないインスピレーションの井戸だ」と彼は言う。外部からのプレッシャーからやっと解放され、 道徳的葛藤やモラルを問いかけて自己を内省し、自分にとって最も重要なものは何かを熟慮する機会を得た時期でもあった。  私は、彼のこうした感情と思考に推進された精神の旅に同行し、実際 多くの旅をして様々な場所を訪れた。私はいつもカメラを持ち歩いていたので、 孤立した彼の憧れや不満、内観などを写真に収めることができた。彼は時には苛立つこともあったが無関心なことが多かった 。  彼の制作姿勢は常に誠実で、どんなに多くの時間を掛けた創作物でも満足しなければ執着なしに切り捨てたが、それは実験、経験、学習として生かされ、作品として完成したものは包括的だった。妥協や惰性が一切ない作品は美しく、それは彼の日常生活においても同様であり私にインスピレーションを与えてくれた。  同タイトルの写真集はデヴィッドの様々な形態のポートレイトを主としているが、静謐な時間と場所を喚起する簡素なイメージが交錯し、それは象徴的、印象派的なものが多い。幾度となく取られる小休止は、長く影を落とした日々の空虚さであり、結果として時を超えて繋がる時空の旅を示唆する。彼と私は 互いをめぐる遊星のようでありその引力作用の関係は今日も続いている。 Yuka Fujii ーーーーーーーーー Yuka Fujii  イギリスのロンドンを拠点とする写真家、キュレーター、アートディレクター。デヴィッド・シルヴィアンの長年のクリエイティブパートナーであり、彼のレーベル[サマディサウンド(samadhisound.com)]の創設メンバー。

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1st solo exhibition
repeat|Yumi Nishimura

1st solo exhibition repeat|Yumi Nishimura

1st solo exhibition repeat|Yumi Nishimura 西村祐美展 2022年3月10日(木)ー 20(日) 木・金・土・日 12:00〜19:00 (最終日17:00まで) ※月・火・水 休廊 今回が初めての個展となる西村祐美は、美大を卒業してから映像制作に携わり2018年から独学で手織りを用いた制作を始める。今までデジタルな現場に身を置いていた彼女に何が……。手織りにおける「増幅」「ストローク」「単調」この繰り返す行為に魅了された彼女は、自分をコントロールして突き詰めていく。一見、排除されたミニマルな作品だが、鑑賞者が近づくことで単なる面でない質感を意識することになる。本個展では、この2年(コロナ禍)拙いながらも、矜持を持って向き合った作品を展示いたします。是非、ご高覧ください。 ーーーーーーー Artist Statement 私は大学や仕事を通じ、情報デザインや映像制作などの分野で活動してきました。デジタルに依存したどこか実体のない制作を続けるうちに、もっと本質的な素材に立ち返りたい、自分の指で何かを形にしたいという気持ちが高まり、その手段を模索する中で独学で手織りを始めました。 本シリーズでは、同じプロセスをひたすら繰り返すことで得られる〝ミニマル〟な面と、素材の持つ躍動感やそれを扱う人間の手から生じる〝プリミティブ〟な面、その対照的にも感じられる二つの側面について、観察や思考をしています。手作業から生まれる厚み・重み・思い通りにいかなさを好ましく思う一方で、それらを自分の中にあるミニマルな形へと制御・整頓したいという思いにも駆り立てられ、その葛藤が繰り返されます。 自分自身や素材との間で対話を重ねながら、このミニマルとプリミティブの間で揺らぐバランスを探ることが制作のテーマであり、鑑賞側にとっても、この二つの対比における違和感のようなものを体感してもらえるのではないかと考えています。 ーーーーーーー 西村 祐美(にしむら ゆみ) 1984年福岡生まれ。2007年多摩美術大学美術学部情報デザイン学科卒業。主な活動として「Arte Laguna Prize 15 exhibition」(イタリア、2021)、「SICF22」(スパイラルホール、東京、2021)、「Arte Laguna Prize exhibition」(モーリシャス、2021)、「Independent Tokyo」(東京、2019) など。受賞歴に「SICF22 保坂健二朗賞」(2021)、「Arte Laguna Prize 15 ファイナリスト」(2021)、「Independent Tokyo 2019 武石太郎賞・石橋高基賞」(2019) など。

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